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重大 9.8 急ぎ度: 至急

Tracecatに認証回避の脆弱性、1.0.0-beta.49で修正

Docker ComposeでSAMLログインを有効にしたTracecatは、署名のない偽の応答でも通してしまい、既存ユーザーのセッションを奪われるおそれがあります。該当する構成か確認し、署名の要求を明示的に有効にしたうえで修正版へ更新してください。

CVE-2026-58490 公開 更新 執筆・監修: 佐々木 航 人が監修しながらAIを活用して執筆
画像は生成 AI で作成したイメージです

急ぎ度: 至急

認証なしでネットワーク越しに悪用でき、CVSS v3は9.8ですが、修正版があり、影響は特定の構成に限られるため、該当する環境は至急、それ以外は構成の確認だけで済みます。

関係があるか

Docker ComposeでTracecatを動かし、SAMLによるシングルサインオンを有効にしている組織が対象です。SAMLを使っていない環境や、既定のFargate・Helm/Kubernetesの構成は影響を受けません。

製品影響を受ける版修正版
Tracecat(Docker Compose構成) 0.37.0以上、1.0.0-beta.49未満(1.0.0-beta.48以前)。SAMLが有効で、SAML_SIGNED_ASSERTIONSとSAML_SIGNED_RESPONSESの両方が未設定・空・falseのもの 1.0.0-beta.49
Tracecat(Fargate、Helm/Kubernetes構成) 既定の構成では影響なし 該当なし

確かめ方

  1. 1Docker Composeで運用しているなら、環境変数にTRACECAT__AUTH_TYPESが含まれ、その値にsamlがあるかを確認します。ない場合、この脆弱性の対象外です。
  2. 2SAML_SIGNED_ASSERTIONSとSAML_SIGNED_RESPONSESが、実際にどの値で展開されているかを確認します。空やfalseなら該当します。
  3. 3使っているTracecatの版が1.0.0-beta.48以前かどうかを、デプロイに使ったイメージのタグで確認します。

何が起きたか

TracecatのDocker Compose構成でSAMLログインを有効にしていると、署名のない偽のSAML応答を受け入れてしまい、既存ユーザーのセッションを第三者に発行する脆弱性です。対象がsuperadminなら、管理者アカウントの乗っ取りになります。

原因は、公式のDocker Compose用の環境設定がSAML_SIGNED_ASSERTIONSとSAML_SIGNED_RESPONSESを「値が空」の状態で出力することです。アプリ側には署名を必須とする安全な既定値がありますが、この空の値がそれを上書きし、アサーションの署名とレスポンスの署名の両方の要求が無効になります。弱点の種類はCWE-347(暗号署名の不適切な検証)です。

Tracecatの1.0.0-beta.49は、この危うい値の受け渡しをなくし、署名付きのアサーションとレスポンスを必須にしました。修正のプルリクエストは2026年6月5日にmainへ取り込まれています。GitHubの勧告ページは2026年7月13日付で、CVEの記録は11月6日に公開されました。

攻撃の流れ

  1. 1

    ログイン開始

    攻撃者がSAMLのアサーション受付先に到達し、SAMLログインの流れを始める。

  2. 2

    偽の応答を送信

    既存ユーザーのメールアドレスを指定した、署名のないSAML応答を送る。

  3. 3

    署名を確認せず通過

    署名の要求が無効なため、Tracecatが偽の応答をそのまま受け入れる。

  4. 4

    セッション取得

    対象ユーザーとして有効なセッションが発行される。

  5. 5

    管理者の乗っ取り

    対象がsuperadminなら、管理者アカウントを掌握される。

公開されている情報をもとにした流れの例です。

どう悪用されるか

悪用に認証は要りません。攻撃者はSAMLのアサーション受付先にネットワーク越しで到達できればよく、利用者の操作も不要です。ただし、乗っ取る相手として、Tracecatに登録済みのユーザーのメールアドレスを指定する必要があります。

SAMLでのユーザー自動作成を無効にしていれば、この脆弱性で新しいユーザーが作られることはありません。被害は既存アカウントの乗っ取りに限られます。

成功すると、攻撃者はそのユーザーとして有効なセッションを得ます。対象がsuperadminの場合は、管理者権限でTracecatを操作できる状態になります。CVSSの機密性・完全性・可用性がいずれも高と評価されているのは、このためです。

今すぐやること

  1. 1

    自社の構成が該当するか確認する

    SAMLが有効で、署名の2つの設定が未設定・空・falseになっていないかを見ます。展開後の値を見ると、空の値を見落としません。

    docker compose config | grep -E 'AUTH_TYPES|SAML_SIGNED'
  2. 2

    署名の要求を明示的にtrueにする

    該当する場合は、更新の前でもSAML_SIGNED_ASSERTIONS=trueとSAML_SIGNED_RESPONSES=trueを設定し、反映させます。開発元がすぐに行うよう案内している対処です。

  3. 3

    Tracecat 1.0.0-beta.49以降に更新する

    修正版に更新します。更新後も、署名の2つの設定がtrueのままであることを確認します。

  4. 4

    侵害の跡がないかを調べる

    SAML経由のログイン履歴で、見覚えのない時刻や接続元がないかを見ます。特にsuperadminのログインを優先します。不審な点があれば、そのセッションを切り、Tracecatが保持している外部サービスへの接続情報の変更も検討してください。

すぐ更新できないとき

すぐに更新できないときは、SAML_SIGNED_ASSERTIONSとSAML_SIGNED_RESPONSESの両方を明示的にtrueへ設定してください。これが開発元の案内する対処です。あわせて、SAMLのアサーション受付先に到達できる範囲を、社内ネットワークやIdPからの通信などに絞っておくと、更新までの露出を減らせます。

背景

Tracecatは、セキュリティチームやAIエージェント向けのオープンソースの自動化基盤です。アラートへの対応や調査の流れをワークフローとして組み、外部のサービスや社内ツールと連携させます。そのため、管理者アカウントを奪われると、ワークフローの内容や連携先の接続情報にまで手が届くおそれがあります。

SAMLでは、IdPが発行した応答に付く署名を、サービス側が検証することで、応答の正当性を確かめます。署名の検証が甘いと、偽の応答でログインできてしまうため、CWE-347はSAML実装で警戒される弱点の型です。この件の特徴は、署名検証のコードの誤りではなく、公式のDocker Compose設定が空の値を出力し、アプリの安全な既定値を消していたところにあります。設定ファイルを見ただけでは、署名が無効になっていることに気づきにくい点に注意が要ります。

よくある質問

Q.更新したら、SAMLログインが起動時のエラーで使えなくなることはありますか。
A.修正のプルリクエストでは、SAMLが有効なのに署名の2つの設定がどちらもfalseだと、起動時にエラーで止まる仕組みが入りました。空の値も無効の指定とは扱われません。起動できない場合は、署名の設定がfalseのままになっていないかを確認してください。
Q.FargateやHelm/Kubernetesで署名の設定を自分で変えている場合はどうですか。
A.開発元が影響なしとしているのは既定の構成です。設定を変えているなら、署名の2つの要求がfalseや空になっていないかを確認してください。

まだ分かっていないこと

  • この脆弱性が実際の攻撃で悪用された事例があるかどうかは、公表されていません。
  • 悪用された場合にログへ残る痕跡の具体的な見分け方は、公表されていません。

この記事は、取得元の公開情報をもとに、人が監修しながらAIを活用して執筆しています。執筆と監修は佐々木 航が担い、公開したあとも人が内容を確認しています。誤りに気づいたときは直し、記事の末尾に訂正の行を残します。対応を決める前に、下の原文と参照先も確認してください。

原文の説明 取得元が公開している説明をそのまま載せています (多くは英語)。

Tracecat is an open-source security automation platform for teams and AI agents. From version 0.37.0 until 1.0.0-beta.49, Docker Compose deployments with SAML enabled can render SAML_SIGNED_ASSERTIONS and SAML_SIGNED_RESPONSES as empty values, overriding secure application defaults and disabling both signature requirements. An unauthenticated attacker who can reach the SAML assertion consumer endpoint can submit a forged unsigned response for an existing Tracecat user email address and obtain that user’s session. Targeting an existing superadmin can result in superadmin account takeover. Exploitation does not create users when SAML user creation is disabled and does not affect default Fargate or Helm deployments. Version 1.0.0-beta.49 removes the insecure deployment pass-through and requires signed assertions and responses.

出典: CVE.org (CVE Program・cvelistV5) NVD

参照URL

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