Apple製品の脆弱性、保護機能回避の悪用を確認 修正版あり
2024年5月に公表されたApple製品の脆弱性が、実際の攻撃で悪用されたと確認されました。iPhoneやMacを業務で使う組織は、修正版の適用状況を端末管理ツールで洗い出してください。
急ぎ度: 早めに
KEVに追加されて悪用が確認された一方、CVSS v3は5.5で、悪用には端末内ですでに任意のメモリー読み書きができる状態が前提となり、修正版も2024年5月から出ています。
関係があるか
iPhone・iPad・Mac・Apple TV・Apple Watch、およびSafariを業務で使う組織が対象です。OSの更新を止めている端末や、古い版のまま残っている端末が見つかる環境は、とくに確認が要ります。
| 製品 | 影響を受ける版 | 修正版 |
|---|---|---|
| iOS and iPadOS | 16.7.8未満、17.5未満 | 16.7.8(16系)、17.5 |
| macOS | 14.5未満 | macOS Sonoma 14.5 |
| Safari | 17.5未満 | 17.5 |
| tvOS | 17.5未満 | 17.5 |
| watchOS | 10.5未満 | 10.5 |
確かめ方
- 1端末管理ツール(MDM)で、OSとSafariの版を一覧にして、上の表の修正版に届いていない端末を抜き出します。
- 2iPhoneとiPadは、設定の「一般」から「情報」を開くと版を確認できます。Macは、Appleメニューの「このMacについて」で確認できます。
- 3Macのターミナルでは
sw_versでmacOSの版を確認できます。Sonoma以外のmacOSを使っている端末は、Safariの版も別に見たうえで、Appleの告知で対象かどうかを確かめてください。 - 4iOS 16系のまま止まっている端末は、16.7.8に上がっているかを見ます。17系へ上げられない機種が残っていないかも、あわせて洗い出します。
何が起きたか
2024年5月に公表されたApple製品の脆弱性です。iOS・iPadOS・macOS・tvOS・watchOS・Safariが対象で、端末内ですでに任意のメモリーの読み書きができる攻撃者が、Pointer Authenticationという保護を回避できるおそれがあります。修正版は、公表と同じ2024年5月に公開された17.5などの版から提供されています。
実際の攻撃で悪用されたことが確認されています。
Pointer Authenticationは、プログラム内の「次にどこへ進むか」を指す情報に署名を付け、改ざんされたものを使わせないための仕組みです。この脆弱性では、その確認が不十分だったため、署名を回避される余地が生じました。Appleは検査を改善して対処したと説明しています。
この保護の回避は、単独で完結する攻撃というより、別の脆弱性と組み合わせる段階で使われるとみられます。いま問題になるのは、修正版を当てないまま2年以上たった端末でしょう。更新を済ませた端末は、この件では対象から外れます。
攻撃の流れ
-
1
別手段で足場
ほかの脆弱性などにより、端末内で任意のメモリーを読み書きできる状態を得ます。
-
2
保護を回避
この脆弱性を使い、Pointer Authenticationによる保護を回避します。
-
3
攻撃を継続
保護が働かない状態で、端末上での不正な操作を進めます。
-
4
改ざんの余地
端末内のデータや動作が書き換えられるおそれが出ます。
どう悪用されるか
ネットワーク越しに直接狙えるものではなく、攻撃者が端末内ですでに低い権限を持ち、任意のメモリーを読み書きできることが前提です。悪用に利用者の操作は要りません。CVSSのベクターでも、攻撃元の区分はローカル、必要な権限は低、利用者の関与は不要とされています。
CVSS上の影響は、情報の漏えいや停止ではなく、改ざん(完全性)が高い評価です。この脆弱性だけで端末が乗っ取られるわけではありません。ただし、別の脆弱性と組み合わされると、保護が効かなくなる分、不正なコードの実行などへ進める余地が広がるとみられます。
今すぐやること
-
1
対象端末を洗い出す
MDMや資産台帳から、OSとSafariの版が修正版に届いていない端末を抜き出します。業務で使う私物端末や、倉庫・店舗で眠っている共用端末も含めます。
sw_vers -
2
修正版に更新する
iPhone・iPad・Mac・Apple TV・Apple Watchを、表の修正版以降に更新します。Safariも別に対象なので、OSとは分けて版を確かめます。更新は2024年5月から提供されているため、動作確認の済んでいない業務アプリがあれば、ここで検証を終わらせます。
-
3
米国の期限を目安に整理する
CISAは、米国の政府機関に対し、2026年11月18日までの対応を求めています。日本の組織に課された期限ではありませんが、未適用の端末の更新を終える時期の目安として使えます。
-
4
長く未更新だった端末を調べる
悪用が確認されているため、修正版を当てていない期間が長かった端末は、更新したあとで、MDMの記録や不審な挙動の有無を確認します。役員や管理者など重要な情報を扱う人の端末から優先します。判断に迷うときは、専門の事業者に相談してください。
-
5
ベンダーの告知を確認する
更新できない古い機種の扱いや、macOSの他の系列、狙われた対象については、Appleのセキュリティ告知で最新の記載を確認します。
すぐ更新できないとき
修正版に更新できない古い端末は、更新できるまでのつなぎとして、社内システムや業務データへの接続をMDMの条件付きアクセスで止めるか、利用を控えます。機種が修正版に対応しない場合は、入れ替えを計画します。いずれも修正版を当てる代わりにはならず、あくまで一時的な対策です。
背景
Pointer Authenticationは、Appleが自社設計のチップで備える保護機能です。プログラムが呼び出し先などを指す値に署名を付け、メモリーを書き換えて処理の流れを乗っ取る攻撃を難しくします。端末内のメモリーの読み書きができる攻撃者でも、署名を偽造できなければ先へ進めません。この脆弱性は、その確認の不備を突いて保護を迂回できるものです。
そのため、これは侵入の入口になる脆弱性というより、侵入の途中で働く脆弱性です。iPhoneやMacは、メールや社内チャット、業務アプリの認証情報を持ち歩く端末です。保護機能が回避されると、端末内での不正な操作が通りやすくなります。対象がiPhoneからWatch、Safariまで広いのは、Appleの各OSが同じ土台を共有しているためです。
よくある質問
Q.個人のiPhoneを業務で使っている場合も対応が必要ですか。
Q.Safariだけ更新すれば足りますか。
まだ分かっていないこと
- ランサムウェア攻撃で使われたかどうかは分かっていません。
この記事は、取得元の公開情報をもとに、人が監修しながらAIを活用して執筆しています。執筆と監修は佐々木 航が担い、公開したあとも人が内容を確認しています。誤りに気づいたときは直し、記事の末尾に訂正の行を残します。対応を決める前に、下の原文と参照先も確認してください。
影響パッケージ
| 種類 | パッケージ | 影響を受ける版 | 修正版 |
|---|---|---|---|
| Apple | Safari |
17.5 未満 |
17.5 |
| Apple | iOS and iPadOS |
16.7.8 未満 17.5 未満 |
16.7.8 17.5 |
| Apple | macOS |
14.5 未満 |
14.5 |
| Apple | tvOS |
17.5 未満 |
17.5 |
| Apple | watchOS |
10.5 未満 |
10.5 |
Linuxの関連パッケージの修正状況
Appleの製品の更新とは別に、同じ部品を使うLinuxのパッケージを各ディストリビューションが修正しています。Appleの製品だけを使っている場合は関係ありません。
- Debian DEBIAN-CVE-2024-27834 webkit2gtk
- Ubuntu UBUNTU-CVE-2024-27834 qtwebkit-opensource-src
原文の説明 取得元が公開している説明をそのまま載せています (多くは英語)。
The issue was addressed with improved checks. This issue is fixed in iOS 17.5 and iPadOS 17.5, tvOS 17.5, Safari 17.5, watchOS 10.5, macOS Sonoma 14.5. An attacker with arbitrary read and write capability may be able to bypass Pointer Authentication.
出典: OSV.dev (Open Source Vulnerabilities) NVD GitHub Advisory OSV CISA KEV
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参照URL
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